MPS・トリガーポイント・ファシアとは

1.MPS・トリガーポイント・ファシアとは

 筋膜性疼痛症候群(MPS)とは

筋膜性疼痛症候群(きんまくせい とうつうしょうこうぐん、Myofascial Pain Syndrome:MPS)は、Myofascia=筋肉を包む膜「筋膜」の異常から起きる、痛み・シビレのなどの症状を起こす疾患です。
日本では筋痛症とも呼ばれることもあります。
こ の病気は1980年代にアメリカで『Travell & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual (筋筋膜性疼痛と機能障害: トリガーポイントマニュアル)』(Janet G. Travell 医師とDavid G.Simons医師の共著)という医学書にて発表されました。
通常、我々が急激に重い物を持ったり、無理な姿勢等により繰り返し筋肉に負荷をかけると筋肉に微小損傷が発生します。いわゆる筋肉痛の状態です。通常、この痛みは数日程度で自己回復をします。
筋膜性疼痛症候群(MPS)では一般的な筋肉痛とは異なり、痛みやしびれの強さが相当激しいものになり、更に痛みやしびれの範囲が広範囲に発生します。

 痛いところが本当に悪いところ??

筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイントの複雑なところは、「痛みを感じる場所が痛みの原因ではない事」です。
私たちが指を切ったり、骨折したり、捻挫をしたりすると「痛みを感じる場所=痛みの原因」と、当然分かりますが、筋肉や内臓の痛みの場合は少し違っています。
「痛みを感じている場所」と「痛みの原因」が一致していないことが多いのです。(70%は一致しない)

症状が出ているところだけ治療しても結果が出ないのは、この筋肉の痛みの特徴により、治療しているところにズレがあるからなのです。(※腱、靭帯の痛みなどは例外があります)
痛みを感じている場所に囚われず、痛みの原因となる場所を正確に探しだすことが重要になります。

 トリガーポイントとは??

上記で説明した【痛みの発生場所】(原因)をトリガーポイントとよびます。トリガーは「引き金」という意味で、銃の引き金を引くと弾が遠くまで飛んで行くのと同じように、トリガーポイントが引き金となって、遠くの場所に痛みを飛ばしているのです。
その遠くの場所に感じる痛みを「関連痛」とよんでいます。

 

トリガーポイントのなかでも、認知覚があるものを責任トリガーポイントとよび、責任トリガーポイントを改善することが本当の痛みの改善につながります。
認知覚とは「痛い所はそこだ!」「そこそこ!痛いのはそれだ」と本能的に感じることです。

筋膜とはなにかというと筋肉や内蔵、骨など全身を包んでいる「膜」のこと。
運動不足や不良姿勢などでこの膜が動かなくなり、膜同士が癒着していくのです。
実際、超音波エコーでみてみると、「筋膜やファシアの癒着」があるところは、太い白い線に見えるのです。
その部分に鍼を打つと、「響き」や「認知覚」がでて、その癒着をバラけさせると、痛みやシビレなどの症状が軽くなるのです。

 『ファシア』とは

Fasciaの定義は国際的にも議論中です。

1つは「筋膜Myofasciaに加えて腱、靱帯、脂肪、胸膜、心膜など内臓を包む膜など骨格筋と無関係な部位の結合組織を含む概念であり、その線維配列と密度から整理される。」であり、もう1つは「鞘、シート、あるいは剖出可能な結合組織の集合体で、裸眼で肉眼的に確認可能な程の大きさがある。そして、fasciaは皮膚と筋の間、筋周囲、末梢神経と血管をつなぐ、それら関連構造をも含む。」です。

現在、上記2種類のFasciaの定義を融合させるための議論が進んでいますが、統一見解には至っておりません。

また、Fasciaの適切な日本語訳は現時点ではありません。

そのため、「fascia」あるいはカタカナで「ファシア」と表現しています。

本邦ではFasciaは「筋膜」、時に「膜」と訳されてきた経緯があります。

一方、Fasciaの意味で「筋膜」と表現されている場合もあります。

医学用語としては、筋膜は「myofascia」、膜は「membrane」です。

日本解剖学会の解剖学用語改訂13版には、Fasciaは筋膜Myofasciaを超えたものと説明されており、整形外科学会の整形外科学用語集(第8版)では「筋膜、あるいは腱膜」という言葉があてられています。

建設的な議論を進めていくためにも、言葉の定義を厳密に確認することが極めて重要になります。

 治療方法

トリガーポイントを解消する方法はいくつかあります。当院では以下の二つの手法を取り入れています。
トリガーポイント鍼療法
筋膜リリース 手技療法
どちらも筋膜の癒着やトリガーポイントを解消する方法で、症状や患者様のご意見を聞きながら治療方法を決めてゆきます。

 トリガーポイント鍼療法

当院はその中でも副作用が最も少なく効率的で効果が大変高い、
トリガーポイント鍼療法をメインに行っています。

 筋膜リリース 手技療法

鍼を使わず、手技により、筋・筋膜リリースをおこない痛みを軽減させる方法です。どうしても鍼は苦手と言う方におこなっております。

 なんでトリガーポイント鍼灸でよくなるの??

痛みの本当の原因は責任トリガーポイントにあります。責任トリガーポイントは様々な要因により過敏になっており、その過敏さを鍼によって収めていくと症状が改善されていきます。

 

 他の鍼灸治療との違いは??

他の多数の鍼灸治療ではトリガーポイントの存在を知らなかったり、無視をした治療を行っています。
また、痛みの原因となる責任トリガーポイントをきちんと処理することが、痛みの根本治療になるのですが、他の鍼灸治療では、なかなか責任トリガーポイントを探しだせなかったり、探し出せたとしても正確にその筋肉へ鍼をさせなかったりするので効果がバラバラなのです。
当院は、責任トリガーポイントの探索と正しい筋肉へのアプローチを得意としておりますので、安心して体をお任せ下さい!

 なぜトリガーポイントができるの??

トリガーポイントができる要因はいくつかあります。

長時間の同じ姿勢
過度な仕事やスポーツ
反復動作
ストレス
血行不良
自律神経の乱れなど
ケガや手術
上記1~7により、筋肉に疲れが溜まり、その疲れが続くと血流が悪くなり、筋肉が硬くなってきます。

 トリガーポイント治療が有効かもしれない症状と疾患

肩こり、腰痛、背中痛、臀部痛、膝痛、頭痛、五十肩、ギックリ腰、寝違い、めまい、しびれ、耳鳴り、テニス肘、ゴルフ肘、野球肩、むち打ち症、坐骨神経痛用症状、
椎間板ヘルニア、TFCC損傷、腱鞘炎、筋膜性疼痛症候群、線維筋痛症・慢性痛、慢性疲労性症候群など
※その他にも適応症状ありますので、ご相談ください!






※このページはよしむら鍼灸治療院の許可得て画像・動画を共有し作成したページとなっております。

引用元

一般社団法人日本整形内科学研究会(JNOS)のホームページ. 医療関係者へ. 「2. fasciaとは」
URL: https://www.jnos.or.jp/for_medical#2Fascia